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ふうかとほうかの日常を、それぞれにつらつらと書いてます。
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2009/02/04 (Wed)
かげゆじ







電話、てどうなってるの?





簡単でいて難しい、子供のような問いを、無邪気な顔で彼は問うた。


彼の趣味ような、所謂絡繰りというものは、
現代は大半は機械で出来、残り僅かは伝統芸能として脈々と受け継がれている

それを仕事にせず、趣味においていれば、好奇心はつきぬものの、それを教える人間は身近な人間しかいないのだ。



しかし電話の仕組みなぞ正直知ったこっちゃなかったし、子供のころからあるのが当然であったため調べたこともない。

うーん、と少し悩んでみたが、案の定答えは簡単に出そうもない。

あとでパソコン先生で検索するかと苦く笑い、すみませんと素直に謝る。

「そっかー。わかんないよねー」

その口振りは諦めた風であるのに、眉がさがりきっていて笑える。


「あ、でもこれならわかりますよ」
「ん?」
「ちょっと待っててくださいね」

キッチンから紙コップと、キリと糸。
手際よく穴を開け糸を通し紙コップの片方を景時に渡す。

ちょい、と譲が耳をたたくので、ためしに耳に当ててみる。

『聞こえますかー?』
「ぅわっ」

不意に紙コップから譲の声が聞こえた。


「俺がこっちの紙コップで喋ると、糸を振動させてせっちに声が届くんです。
糸電話、ていうんですよ。」

久々に作ったけど成功してよかったと譲が笑う。

「へー!すごいね譲くん!」
「俺がすごいんじゃないですけど…」

景時さんも喋ってくださいと、今度は譲が耳にあてる。

距離があるのにすぐ側で聞こえる声が、紙コップのやさしさと相まってくすぐったい。




しんとした空間。
互いの笑い声が時折響く。
内容は今日の夕飯であったりなのに、なぜか秘密めいていておもしろい。


紙コップに伝わる声があんまりやさしくて可愛くて、最終的に譲の隣に座って糸電話をしたとて、誰が責められよう。

譲は少し、苦く笑っていたけれど。









―――――
景時の時代に糸電話があったかもしれなくても時代とかわかんない←
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